今あるシミに効く美白成分を化粧品成分スペシャリストが徹底解説。一番効くのはどれ?

化粧品成分
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シミの悩みを解決するには、しっかりとした美白効果をもった化粧品を選びましょう。

美白化粧品を使って透き通るように輝く美白肌を目指したいあなたのために、美白成分の種類や肌への作用メカニズム、それぞれの違いやデメリットなどについて、なるべくわかりやすく解説します

美白成分の種類とシミへの効果

美白有効成分の種類と特徴

  • シミを予防する(メラニン抑制)成分
  • 肌が黒くなる原因となるメラニンが発生するのを抑える

  • シミを薄くする(メラニン還元・淡色化)成分
  • 黒く変色したメラニンの色を薄くして、シミやそばかすを淡色化する

  • シミを追い出す(メラニン排出)成分
  • メラニンを肌から排出し、シミを肌から追い出す

シミのある肌の状態

肌のシミは、肌の奥にある「メラノサイト」から生まれたメラニンが、肌からうまく排出されないことが原因で起きます。

美白成分は、メラノサイトの働きを防ぐ(メラニン抑制)効果と、できてしまったメラニンを無色に変える(還元)効果、肌の奥に滞留したメラニンをターンオーバーの流れに乗せて肌から出す(排出)タイプの3つに分類されます。

成分によって働きが異なり、どの成分が効くかは肌によって異なります。効果に疑問を感じたら他の成分を試してみるのがおすすめ。

シミだけでなく、毛穴の黒ずみもメラニンの発生が原因のひとつ。優しく洗顔をおこないながら美白化粧品を併用しましょう。

代表的な美白成分とその働き

成分名 抑制 還元 排出
ビタミンC誘導体
プラセンタエキス
4MSK
リノール酸S
ナイアシンアミド
ハイドロキノン
アルブチン
コウジ酸
エラグ酸
ルシノール
カモミラET
トラネキサム酸
マグノリナン
エナジーシグナルAMP
デクスパンテノールW
トレチノイン

メラニン生成抑制タイプの美白成分

ビタミンC誘導体、プラセンタエキス、4MSK、ナイアシンアミド、ハイドロキノン、アルブチン、コウジ酸、エラグ酸、ルシノール、カモミラET、リノール酸S、トラネキサム酸、マグノリナンなど

美白成分の種類の中で最も多いのが、メラニン生成抑制タイプ。

シミの元となるメラニンの発生を防いでくれるので、紫外線を浴びそうな季節や、日差しを浴びてしまった後のアフターケアには、メラニン抑制タイプの美白化粧品を取り入れましょう。

メラニン抑制タイプのはたらき

メラニン生成の流れ

シミの原因となるメラニンは、肌が紫外線の刺激(伝令)を受けたときにメラノサイトと呼ばれるメラニン工場が活性化して、チロシナーゼと呼ばれる作業員のような存在がチロシン(メラニンの原料)を黒く変化させることで発生する仕組みになっています。

メラニン抑制タイプは、メラニン工場への伝令を抑えたり(プラスミン阻害)、メラニン工場が働くのを抑えたり(メラノサイト活性化抑制)、作業員が動くのを邪魔(チロシナーゼ活性阻害作用)したりする働きによって、メラニンの発生を抑制する(チロシンが黒くなるのを防ぐ)効果をもっています。

還元・淡色化タイプの美白成分

メラニン還元・淡色化タイプの美白成分

ビタミンC誘導体

黒くなったメラニンを無色化することで美白に導く成分と言えば、ビタミンC誘導体。

すでにできたシミにアプローチだけでなくメラニン生成抑制効果も併せ持っているので、シミが気になる人はもちろん、これからのシミを予防したい人にもおすすめの成分です。

メラニン還元・淡色化タイプのはたらき

ビタミンCがもつ「酸化還元」と呼ばれる力で茶色いメラニンを還元して、淡色メラニンに変化させることで美白効果を生みます。

ビタミンCがもつ強力な酸化機能を実験した動画を紹介しますね。

ビタミンC誘導体にはVCエチル、AA2Gなど、さまざまな種類がありますが、そのいずれも還元効果を持っています。

メラニンを分解して徐々に元の色に戻していくため、肌奥に居座ったシミに対しても効果的と言われますが、皮脂を抑制する効果があるため乾燥肌の人には注意が必要です。

メラニン排出タイプの美白成分

メラニン排出タイプの美白成分

プラセンタエキス、ビタミンC誘導体、4MSK、エナジーシグナルAMP、デクスパンテノールW、トレチノイン

メラニン還元タイプと比べてシミを薄くする効果はやや弱め。ターンオーバーを促進するため肌の表面を整える効果を兼ね揃えています。

肌のくすみなどに効果がありますが、排出に時間がかかるので長期継続が必要です。

メラニン排出タイプの働き

メラニン排出タイプの美白成分は、メラニンを古い角質と一緒に排出することでシミを改善する効果があります。

若い頃は新陳代謝が良いのでメラニンが排出されやすいものの、歳を重ねるにつれて周期が遅くなるとなかなかメラニンが排出されなくなり、シミとして残ってしまうことがあります。

ビタミンC誘導体で肌の乾燥が気になる人は、排出・抑制タイプのプラセンタエキスや4MSKがおすすめ。

肌の状態によっては、肌荒れ抑制効果も併せ持つトラネキサム酸もおすすめです。

シミに効果的なおすすめの美白成分

ここからは、シミの改善に効果的な美白成分のうち、代表的な成分について詳しく説明していきます。

※名前をクリックすると該当する成分にジャンプします。

ハイドロキノン

成分の特徴 シミを防ぐ
強力な美白効果

ハイドロキノンは、メラニンを作るチロシナーゼの働きを抑えることでシミを防ぐだけでなく、メラニン工場を壊してしまうほどの働きを持つ、非常に強力な美白効果をもった成分です。

肌の漂白剤という異名をもち、強い作用によってシミなどのトラブルにアプローチします。

成分の特徴

ハイドロキノンはブルーベリーやいちご類のほか、コーヒーや紅茶などの天然の植物に含まれる成分ですが、他の美白成分よりも10~100倍の美白効果を持つと言われます。

濃度が高いほど即効性が上がりますが肌への刺激も強くなり、刺激性皮膚炎や白斑などリスクも。取り入れる場合は1~2%ほどの低濃度のものから始めましょう。

特に心配なのは光毒性という性質。紫外線と反応することで色素沈着を引き起こし、シミを濃くしたり炎症を引き起こすことがあるため、夜用の美白ケアとして使うことが鉄則です。

日中にはUVケアを徹底し、外出時には日傘やUV乳液を欠かさず使いましょう。

アルブチン

成分の特徴 シミを防ぐ
ハイドロキノンの『誘導体』

アルブチンは高い美白効果のあるハイドロキノンに『ブドウ糖』を結合させることで、肌への刺激を抑えられた成分。

ハイドロキノンよりも低刺激で使いやすく、肌が敏感な人でも使いやすいのが特徴です。

成分の特徴

アルブチンは、コケモモや梨などの植物に含まれる成分。ハイドロキノンと同じくチロシナーゼを阻害することでシミやそばかすを予防したり、肝斑を改善する効果があると言われています。

アルブチンにはα型とβ型の2種類あり、α型はβ型よりも10倍以上も高い美白効果をもちます。成分表に『α-アルブチン』と表示されるので、効果を求める人はチェックしましょう。

ビタミンC誘導体

成分の特徴 シミを防ぐ
シミを薄くする
シミを排出する
皮脂抑制効果あり

ビタミンC誘導体は、新たなメラニンの発生を防ぎつつ、今あるシミを薄くして排出する、美白成分の代表格。

紫外線による炎症を抑える働きのほか、コラーゲン産生との関わりも研究され、抗酸化作用や毛穴の引き締め効果など、様々な美容効果があると言われている成分。

水溶性、油溶性、両親媒性と3つの種類があります。

水溶性ビタミンC誘導体

  • 3-O-エチルアスコルビン酸(VCエチル)
  • アスコルビン酸グルコシド(AA2G)
  • アスコルビルリン酸Na(APS)
  • ビスグリセリルアスコルビン酸(AsA)
  • リン酸アスコルビルMg(APM)

水溶性のビタミンC誘導体はさっぱりとした使用感で、化粧水など水分が多いスキンケア用品に含まれます。

皮脂を抑える働きがあるので、肌がベタつく脂性肌の人におすすめ。敏感肌・乾燥肌の方はヒリつきや突っ張りを感じることもあるので、肌の調子を確かめながら使いたいですね。

特におすすめなのはVCエチル。ビタミンCをとても多く含んだ誘導体で、チロシナーゼ・TRP-2活性阻害による色素沈着抑制、メラニン還元によるメラニンの淡色化など、即効性と安定性を兼ね揃えた美白成分です。

浸透力はアルコルビン酸グルコシドの3倍ほど。ほかのビタミンC誘導体は肌の中で分解されることでビタミンCとして作用しますが、VCエチルはそのままの状態でビタミンCとして作用するため効果を発揮しやすく、高い持続性(なんと72時間!)を持ち合わせています。

低刺激さを求めるなら、グリセリル/グルコシドなどの名前が付いたビタミンC誘導体の選択も。

ビタミンC(アスコルビン酸)にグリセリンを繋げることで肌刺激を抑えつつ保湿性をプラスしたタイプで、特にビスグリセリルアスコルビン酸はグリセリンを2基つなげることで保湿性をさらに向上させてあります。安定性は高いものの、そのぶん効果も控えめになりますよ。

注意したいのはアスコルビルリン酸Na(別名:リン酸L-アスコルビルナトリウム、APS)。、『ビタミンC誘導体入りで美白!』とアピールのあるプチプラ化粧水によく使われます。

リン酸アスコルビルMgなどより低コストですが多少刺激になることもあるので、成分表をチェックしましょう。

油溶性ビタミンC誘導体

  • ステアリン酸アスコルビル(VCステアレート)
  • テトラヘキシルデカン酸アスコルビル(VCIP)

油溶性タイプは水溶性のような即効性はありませんが、ゆっくり時間をかけて肌内部まで浸透することで効果を発揮し、持続力は水溶性の2倍。

ニキビ肌の人にもにもおすすめで、肌への吸収力が高いVCIPはアクネ菌の症状を抑えつつ炎症を防ぐ効果を併せ持ちます。

水溶性と比べると即効性や皮脂コントロール力が弱いものの、水溶性よりも保湿力があり、低刺激さがウリです。

両親媒性ビタミンC誘導体

  • パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na(APPS)
  • イソステアリルアスコルビルリン酸2Na(APIS)

水溶性ビタミンC誘導体に油と馴染む成分を組み合わせて、水と油の両方に溶ける性質「両親媒性」と変化させたビタミンC誘導体。

即効性が特徴のAPPSはアスコルビン酸グルコシドの100倍とも言われる高い浸透力。価格が高いのが難点です。安定性が低いので冷蔵庫で保管するのがおすすめ。

APISはAPPSよりもさらに高い浸透力とビタミンCへの変換効率の高さをもつ最新型のビタミンC誘導体。安定性を高めながら皮膚への浸透性を実現した成分ですが、利用実績が少ないため使用の際には注意が必要な成分と言えます。

プラセンタエキス

成分の特徴 シミを排出する
保湿効果

プラセンタエキスは豚や馬などの胎盤から抽出される成分。アミノ酸やビタミン類が豊富に含まれ、肌リズムを整える効果によってメラニンを排出し、美白に導きます。

肌にうるおいを与えハリ・ツヤがUPする効果にも期待でき、肌全体の透明感を増し、明るさをもたらします。

保湿によって乾燥小じわの解消や肌リズムを整える働きにも期待できます。

更年期障害の治療など医療用にも使われるほか、副作用がほとんどないことから様々な化粧品にも使用され、肌への刺激も少ないのが特徴です。肌に塗布するだけでなくサプリメントとしての服用も◎

豊富な栄養素ゆえに雑菌などが繁殖しやすいので、使用期限をしっかり守るなどの注意が必要です。

トラネキサム酸

成分の特徴 シミを抑制する
肌の炎症を防ぐ

抗炎症剤として医療現場で使われていたトラネキサム酸は、30代から増え始める肝斑に効果的と言われる成分。皮膚科で処方されるほどの実力がありながら、肌への刺激が少ないのも嬉しいですよね。

肌内部が部分的に炎症を起こしてメラニンが生まれ続けるタイプのシミには、抗炎症効果をもったトラネキサム酸が効果的です。

抗炎症作用をもつことから、日焼けによる炎症や、赤く炎症を起こすニキビなどの肌荒れにも効果を期待でき、肌への刺激も少なく使いやすさも◎。

リノール酸S

成分の特徴 シミの発生を防ぐ
メラニンを排出する
保湿効果

紅花油を分解して作られたリノール酸をリン脂質でナノカプセル化し、美白成分として使えるように改良を施されたサンスターの独自美白成分。

チロシナーゼを分解することでメラニンの発生を抑えるという、他であまり見られない働きをもっています。

すでに作られてしまったメラニンをターンオーバーの促進によって排出する効果を持ち、分解と排出という2つの働きで美白にアプローチします。

ルシノール

成分の特徴 シミの発生を防ぐ
肝斑などの色素沈着を抑制。

ポーラ独自の美白有効成分。メラニン生成の原因であるチロシナーゼのはたらきを抑える力が、なんとアルブチンの380倍!非常に高い効果に期待できます。

肌が黒くなる原因となるメラニンは、チロシナーゼ(ロボット)がチロシンを変化させることで発生しますが、ルシノールはチロシナーゼと合体してチロシンを変化できないようにすることで、メラニンの発生を予防。

最近ではPCE-DPと呼ばれる新しい成分も開発され、表皮細胞へのアプローチが可能になりました。美肌効果への期待もプラスされた、POLAの独自成分です。

4MSK

成分の特徴 シミの発生を防ぐ
メラニンを排出する
ニキビ跡で悩む人に

なかなか消えない角化してしまったシミにも効果を発揮し、メラニンを排出してくれる4MSK。他の成分を試しても効果が見込めなかったシミなどの悩みを抱えた方におすすめです。

通常、肌のシミはターンオーバーによって肌表面に押し出されて消えていきますが、シミ部分に皮膚の角質化が同時に起こるとメラニンが排出されずになかなか消えないシミになってしまいます。

この角化によって消えないシミに対して作用し、メラニンの排出を促す効果を持っているのが、資生堂が開発した4MSK最大の特徴です。

4MSKは抗菌・殺菌作用を兼ね揃えたサリチル酸の誘導体。特にニキビで悩む人におすすめの美白有効成分です。

美白成分を使う上での注意点

美白成分が配合された商品を使用する場合は、自分にあった美白成分を見つけるためにも、どのような成分が入っているのかをしっかりと確認し、使用量や使用方法を正しく守りましょう。

肌トラブルを防ぐために、注意すべき点について細かく解説します。

肌の乾燥を感じたら一旦使用をやめること

美白成分は、副作用が少なくなるよう安全性を長く研究されてきた成分がほとんどですが、肌との相性によっては濃度によって刺激が強くなったり、肌トラブルを引き起こす場合があります。

特に敏感肌の方は、少ない刺激でも肌が赤く腫れたり、かゆみを伴うことも。肌に異変を感じたらすぐに使用を中止し、場合によっては使用中のアイテムを持って皮膚科を受診しましょう。

肌が敏感な人は控えめな美白効果をもったアイテムから選び、目立たない部位で少ない量から試してみましょう。

肌の状態を見ながら使用すること

美白成分の中には白斑などの肌トラブルを引き起こす原因となるものもあり、使用中は肌の変化に注意しながら使うことが重要です。

女性はホルモンバランスなどで肌の状態が揺らぎやすいので、生理前などには新しい化粧品を試さずに、肌が安定してから使い始めることをおすすめします。

また、長期的に継続し続けるのではなく、悩みであるシミやそばかすなどの改善が実感できれば使用をやめ様子をみるなど、一時的な使用に留めるのが美白成分との上手な付き合い方です。

皮膚科では、どの成分がトラブルの原因になったのかを調べることができます。外箱に成分表が記載されている場合は箱を保管するか写真を撮っておき、診察を受ける際には提出できるように準備しておきましょう。

美白ケアには紫外線対策を併用すること

美白ケア商品は、メラニン発生を抑制や還元、排出の手助けをしてくれますが、それ以上に紫外線を浴び続ければ効果を発揮することはできません。

紫外線は雨やくもり空でも降り注ぎ、ガラス越しに室内にも侵入して肌に刺激を与えます。日焼け止めなどのUVケア製品と併用しましょう。

紫外線は視覚で感じるだけでもメラニンを生成してしまうので、UVカット効果の付いた眼鏡やサングラスなどを併用するのも効果的です。

よくある質問

地黒でも美白系スキンケアを使用すれば効果はありますか?

二の腕やお腹など、紫外線を受けにくい部位と同じ程度の色までは白くなりますが、元の肌色よりも白い肌にはなりません。元の肌色よりも明るい印象に整えるには保湿が重要。肌内部にしっかりうるおいを与えるスキンケアを使うことで透明感を増すことができます。

美白ケアアイテムは保湿力が弱いって本当ですか?

水溶性のビタミンC誘導体は皮脂を抑制する効果があるため、乾燥肌の人にとっては保湿力が不足すると感じることもありますが、成分の組み合わせによって保湿力は大きく変わります。肌の状態に併せて選びましょう。

美白成分は組み合わせて使用しても大丈夫ですか?

自分に合った美白成分を知るためにも、まずは同じラインで美白化粧品を揃えて使うのがおすすめです。肌トラブルが起きたときに原因となる成分を知ることにもつながります。相性を知った上で組み合わせて使うことは問題ありません。

まとめ

美肌を目指すなら、美白成分とは長く付き合うことになるものです。

肌との相性やトラブルの元によって合う・合わないがでてくるものなので、成分表とにらめっこしながら自分にとって最適な成分を探し出しましょう。

また、美白成分だけの力では美白肌は手に入りません。UVケアも徹底し、肌ストレスを溜めない生活を送るように心がけてくださいね!

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